【あいうえおぶせ】 す号 スワロー亭
すわろーてい【スワロー亭】
小布施町・中町
普段出会わないような素敵な本に巡りあいたい時、
ゆっくり本を選びたい時、おすすめの本屋さん。
さまざまな店に観光客が賑わう観音通りに、古本屋「スワロー亭」はあります。一歩足を踏み入れれば外の賑わいを忘れ、静謐な雰囲気に包まれます。店内に流れるちょっと不思議なBGMはどこか居心地が良く、あちこちにある奇妙な置物や古道具は、訪れた客を非日常へと誘います。
ここ「スワロー亭」を営むのは町内でデザイン・編集・執筆などを行う「燕游舎(えんゆうしゃ)」のお二人。大阪府出身、グラフィックデザイナーの奥田亮さんと、長野県岡谷市出身、編集者・ライターの中島敏子さんです。
東日本大震災がきっかけで東京から地方移住を考えるようになり、中島さんの仕事を通じ、関係性のあった小布施町に2012年の冬に移住。住居に決めた物件が、以前クリーニング屋だったということで、元からあった店舗スペースで何かできないかと考えるようになったのだとか。
「当時、小布施には本屋がなく、二人とも、本に携わる仕事をしているのに寂しさを感じていました。そこで、古本屋をやろうと思い立ちました(奥田さん)」
いざ決意すると、不思議とご縁や、周囲の協力に恵まれ、それに後押しされるように開店準備が進み、2016年1月に「スワロー亭」がオープン。告知や宣伝はほとんど行わず、時間をかけてお客さんが増えていったそうです。扱う本のセレクトも自ずとお二人の趣味が反映されるようで、自信を持って仕入れた本が売れていったり、アポ無しで誰かが訪ねてくる、お店ならではの出来事に楽しさを感じていったといいます。
それから数年経ち、生活に必要以上の空間が余っていたことから、店舗スペースを拡張して、2020年5月にリニューアルオープン。もともと増やしたかったという新刊書を充実させたり、ゆっくりと本を読める場所もでき、より居心地の良い空間へと生まれ変わりました。
今後も、カフェやギャラリー、ライブ…と、やりたいことがたくさんあるというお二人。その中のひとつが、「まちに本屋を増やす」こと。
「古本屋は店主によって個性が出るので、たくさんある方が一軒一軒、粒が立ってきます。いつか町内で本屋を回遊できるような、『本屋のまち』になったら楽しいですね(中島さん)」