ゼロ・ウェイストフォーラム2022開催報告
12月4日にゼロ・ウェイストフォーラム2022が開催されました。当日の様子をレポートします。
今回のフォーラムの目玉は、小布施町の資源循環施策としてフラワーセンターでの実証が開始した炭化・堆肥化プロジェクトの現場視察でした。12月の寒空の下、参加者の皆さんと共にフラワーセンターを訪ねると、炭化炉からは煙が上がり始めていました。まずは、今回の実証で技術協力をしてくださっている高槻バイオチャーエネルギー研究所の島田所長から、炭化炉の構造や炭化の仕組みについて、実物を前にレクチャーをしてもらいました。現在、「炭」をとりまく市場環境は大きく変化しています。BBQや飲食店、ストーブで利用する「燃料炭」としての活用、畑の酸性化抑制などの効果が期待できる「土壌改良炭」としての活用、餌に混ぜると鶏が元気になるという「飼料炭」としての活用など様々なシーンでの活躍が期待できます。
実際に炭にした栗イガを参加者の方々にも触ってもらいました。すると、「すごい!触ってもそんなに痛くない!」「うにみたいになったねえ」など驚きの声が上がりました。近い将来、「小布施産のバイオ炭」としてデイキャンプ場利用者の方々などに販売できるかもしれません。元々、ごみとして処分されたものが、「炭化」を経て有効活用できる資源に蘇る様子に、参加者からも「こんな可能性を秘めていたことに驚きでした。」「ごみの資源化に有効であることがよくわかった。」などの声が上がっていました。
続いて、真向かいにある「堆肥化実験」の現場へ移動し、ゼロウエィスト推進員の古木里菜さんからお話を聞きました。古木さんは、生ごみの堆肥化に先進的に取り組んでいる「鳥羽市リサイクルパーク」などでの研修を経て、自身で重機やチェーンソーの操作もできるようになり、今回の堆肥化実験に挑んでいます。その真剣な面持ちからは、堆肥化にかける熱が伝わってくるようでした。
「堆肥化」とは、有機物を微生物の力により発酵させ、生ごみを農作物に利用しやすい肥料にすることです。農家の多い小布施町にとっては、生ごみが削減でき、近年価格高騰している肥料の購入量を抑制する可能性のある取り組みです。
現在は、町内の限られた飲食店からのみ生ごみを回収しており、試験的に堆肥化をスタートさせています。参加者の方々は、生ごみが一時処理をされ、発酵のプロセスに入ってる様子を見学し、古木さんに積極的に質問を投げかけていました。これから温度が下がる冬を迎えると、発酵スピードも下がるため、それまでに堆肥を完熟させ、町内農家の方々への配布に移りたいと考えているとのこと。
このように堆肥化と炭化の実証実験が同時に始まっている小布施町の取り組みは、日本初の試みではないかと思います。
その後、参加者の皆さんは町役場の講堂へ。島田所長や古木さんから再度炭化・堆肥化の仕組みのレクチャーがあった後、取り組みのさらなる推進へ向け参加者同士で意見交換するワークショップを実施しました。フォーラム終了後、参加者の方たちに感想を聞くと「日本のごみ処理あり方が大きく変わっていく時期に来ていると思いました。この取り組みが全国的にも広まるといいなと思いました」
「この先、町民全体がゼロ・ウェイスト(ごみを出さない町)の実現に向けて取り組んでいけるようにしていきたいです」
「炭化の技術について初めて知ることができました。新しい技術をどんどん試していけば可能性が広がると思います。」など前向きな声がたくさん聞かれました。
ご参加者いただいた皆様、どうもありがとうございました。