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【特集】地域材でつくる「おぶせ炭」の生産ストーリーに迫る

ウニにしか見えないこの物体の正体は?

はじめに

 小布施町では昨年度より、町内の農家の方々から集めた剪定枝や栗イガを集め、炭を作っています。今回の記事では、小布施ならではの特長を活かしたそんな「おぶせ炭」について、小布施町地域おこし協力隊員西野がご紹介します!


「おぶせ炭」とは?

 果樹の栽培・加工が盛んな小布施町では、剪定枝、栗の皮・イガ等が多量に発生します。これらを集めて出来上がった炭が「おぶせ炭」です。バーベキューで大活躍する炭ですが、近年は土壌を活性化するとともに、大気中の二酸化炭素を貯蔵する「バイオ炭」として注目されています。

どうして「おぶせ炭」を作るの?

 小布施町では、2022年5月に「小布施町環境グランドデザイン」を策定し、その柱の1つとして「ゼロ・ウェイスト」を掲げています。小布施町では、家庭から排出される可燃ごみのうち、生ごみや剪定枝などの有機系廃棄物が4割を超え、それらを活用していく一環で「おぶせ炭」の作製プロジェクトを進めています。

どうやって「おぶせ炭」を作るの?

 おぶせ炭は、おぶせフラワーセンターに設置されている「製炭炉」(炭を作る機械)で作られます。写真のような製炭炉でどうやっておぶせ炭が出来上がるのかを見ていきましょう。

おぶせフラワーセンターに設置している製炭炉

1. 炭化する材の積み込み

 製炭炉は上下が分離する構造になっており、まず下段に着火に必要な焚きつけ材を敷き詰めます。上段には炭にする材である、剪定枝や栗イガを入れます。材の入れ方が適切でないと、下段で着火した熱が上手く上段に伝わらないため、枝・栗イガの組み合わせ方に注意が必要です。

2. 着火

着火の様子

バーナーを使い製炭炉の下段に入れた焚きつけ材を着火させます。

3. 炭化

 焚きつけ材が燃焼した熱が上段に伝わり、炭化が進みます。炭化しているときには、製炭炉の中の温度は約800℃まで上がります。炭化の進行具合は、煙の温度、色、量から判断し、炭化材が燃焼しないように、製炭炉に入る空気量を調整します。こうした工程を経て、約6時間で製炭炉に入れた材が炭になります。

着火直後の煙の様子 煙の量や色で中の状態を判断する

4. 取り出し

 炭化が終わった後は、製炭炉を冷まし完成した炭を取り出します。中には燃焼したり、炭にならずに生木状態であったりする材もあり、より良いおぶせ炭を作るためにはたくさんの改善点があります。

炭化後の炉内の様子

完成した「おぶせ炭」は何に使えるの?

完成した「おぶせ炭」は次のような使い方ができます!
1. BBQ用炭
 剪定枝で作った炭は煙の臭いが少ないです。また、栗イガの炭は持続力はない代わりに着火剤として火を起こす際に活躍します。

おぶせ炭は着火させやすく、煙の臭いが気になりにくい

2.土壌改良炭
炭は多孔質で、たくさんのミネラルを含みます。炭を土壌にすき込むことで、土壌の透水性、保水性、通気性、保肥性を高めることができます。また、ミネラル補給により植物を強く丈夫にし、連作障害の防止になります。

「おぶせ炭」を使用した方からのご感想

ここでは、先日(2023年9月16日)に開催した、おぶせ炭のモニターイベントでの参加者の方の声を一部ご紹介します。

  • "火がつきやすくて、いがぐりが可愛かった"

  • "着火材がなくても火をつけることが出来て良い"

  • "栗イガの見た目が良い。"

  • "炭くさくないので、手軽にBBQしやすい"

  • "火がつきやすくて良かったです。"

  • "もっと周知されて欲しいです。"

  • "持続可能性を感じるプロジェクトでした。"

  • "(火の)持続力をあげてほしい。"

「おぶせ炭」を使ったイベントと販売の情報

今後、完成した「おぶせ炭」を使ったイベントや販売情報を町報で発信していきます。よろしくお願いいたします。

補足

小布施町地域おこし協力隊 西野竜介
2023年4月に「木質資源の利活用」をミッションとして着任。兵庫県神戸市出身。大学在学時に環境問題に興味をもち、小布施町のチャレンジ精神に魅せられて移住。無類の猫好き。

高槻バイオチャーエネルギー研究所について
製炭炉について気になった方はこちらのページをご覧ください!

本プロジェクトに関する問い合わせ先
小布施町役場 総務課 環境防災連携推進室
TEL:026-214-9209