おぶせ環境人インタビューvol2.まちづくり委員会・環境部会長 OBUSE Meguru Lab.代表工藤陽輔さん(後半)
今回は前回に引き続き、まちづくり委員会の環境部会長であり、微生物農法でりんご、桃、プルーン、野菜などを栽培している工藤陽輔さんにお話を聞きました。様々なプロジェクトに挑戦してきた環境部会ですが、生ごみを利用して堆肥づくりをする試みを10年以上続けてきました。
ー環境部会が取り組んできた生ごみの堆肥化プロジェクトについて教えてください
工藤 環境部会では、町内の生ごみを削減し、堆肥として活用する「大きな循環」づくりと「小さな循環」づくりに取り組んできました。「大きな循環」とは町内の事業者と協力しながら堆肥化を進めることです。スーパー、保育所、飲食店、福祉施設などの生ごみの一部を回収して、その生ゴミを堆肥場で籾殻、ボカシなどと混ぜて堆肥にして畑に入れました。とても良質な堆肥ができ、虫が寄りにくく、元気な野菜を育てることができました。人参やほうれん草、大根など通常の栄養価よりも高い野菜が採れました。一方で、堆肥化のための 発酵には温度が必要なので、冬場は腐敗しやすくて大変でした。人出も多く必要なので、継続的な試みとしての課題にも直面しました。
ーもうひとつの「小さな循環」づくりはどのようなものだったのですか?
工藤 「小さな循環」とは、各家庭の中で循環させることです。まちづくり委員会が主宰となり、6次産業センターで生ごみリサイクルの土づくり(コンポスト)ワークショップを約5年実施してきました。町報やfacebookなどで広報し、多い時には20名ほど参加いただきました。家庭菜園を実践している方、主婦の方々などが多かったです。実際に生ごみリサイクルを続けてくれている人たちから、「ごみが減りました!」という声が聞こえてきています。ご家庭で生ごみを減らしたいという方は多いかと思うので、ぜひより多くの方に生ごみリサイクルに取り組んでもらいたいと思います。家庭から出る資源を活用し、家庭菜園などで栄養価の高い野菜の自給につなげていってほしい。そして、それを食べてより健康になってもらいたいですね。
【体験レポート】
8月30日には、工藤さんが実施しているダンボールコンポスト講座にも参加してみましたので、その様子をレポートします。
この日の、コンポスト講座の参加者は、町のとあるカフェの経営者の方々と、ゴミの削減に取り組むゼロウェイストチームのみなさんです。栗ガ丘小学校の校庭の片隅をお借りして、講座ははじまりました。用意するものとしては、ダンボール箱、ボカシや米ぬか、籾殻、畑の土、生ごみなどです。さらに自家製の発酵液(Meguru)や珈琲・お茶のカスなども混ぜることもできます。まず、ダンボールの側面、底面をガムテープで補強し、ダンボールの中で材料を混ぜ合わせます。籾殻が多めの方が水分過多による腐敗が進みにくいとのこと。その後、生ごみをちぎる、砕くなどしてなるべく小さくしてダンボールの中に入れます。すると、空気と材料が混ぜ合わさり、発酵は緩やかに進んでいきます。入れる生ごみは、野菜の残り、肉、魚、使用済みの油などです。それから週に1〜2回混ぜ合わせ、大体ダンボールの8割くらいまで生ごみを入れ続けます。発酵が進むためには適度な水分が必要で、水分が足りないと発酵せず、水分が多すぎると腐敗します。より発酵を進めたいときは、ボカシや米ぬかを入れます。生ゴミの形がなく土の状態になり、森の土の香りがしてきたら完成になります。できた堆肥は野菜の株元に撒いたり、土作りの際にボカシと一緒に混ぜて、耕運すると、とても元気な野菜が育つそうです。
執筆者 税所篤快 (小布施町ゼロカーボン推進員)