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小布施町が2023年の「世界の持続可能な観光地TOP100選」に選出されました


桜井昌季町長

サステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)の国際的な認証団体であるグリーン・デスティネーションズが実施する表彰制度「世界の持続可能な観光地TOP100選」の2023年版に、小布施町が選出されました。
日本からは北海道弟子屈町、岩手県釜石市、神奈川県箱根町、京都府宮津市、徳島県三好市、香川県丸亀市、愛媛県大洲市、熊本県小国町、鹿児島県与論町、小布施町の10地域が選出されました。(英語記事原文




そもそもなぜ、「持続可能な観光」をめざすのか


観光産業が成長し、観光客が増加するとともに、自然環境の破壊や地域の生活環境の悪化といった悪影響(オーバーツーリズム)が問題となるようになりました。そこで、そうした悪影響を生み出さず、地域の環境・経済・社会の持続可能性に貢献する観光(=持続可能な観光)をめざす動きが、国際的に活発化しました。

2007年に国連世界観光機関(UNWTO)などにより、持続可能な観光のための国際組織であるGSTCが発足し、2013年には地域が持続可能な観光に取り組む上での国際基準となるGSTC-Dが定められました。

日本政府もこの動きに対応し、GSTC-Dに基づいて「日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)」を策定し、地方自治体の持続可能な観光の実現に向けた取り組みを支援しています。観光庁や内閣府は持続可能な観光に取り組む自治体に交付金を交付し、地域への専門家の派遣や、「世界の持続可能な観光地TOP100選」への応募の支援を行っており、小布施町も内閣府からの交付金を受けて取り組みを進めています。


小布施町の取り組み


小布施町は、2021年度から持続可能な観光の実現をめざし、小布施町の観光・交流の現状分析とそれに基づく施策を実施してきました。2022年に策定した「小布施町環境グランドデザイン」では、「サステナブルな観光」を基本方針の一つに位置付け、移動・食・滞在の3分野の基本施策を取りまとめました。また、目標の一つに、「世界の持続可能な観光地TOP100選」への選出を掲げました。

小布施町環境グランドデザインの「サステナブルな観光」分野の基本施策

「世界の持続可能な観光地TOP100選」は、グリーン・デスティネーションズが毎年実施している持続可能な観光の優良事例の国際コンテストです。同団体が管理している持続可能な観光地であるためのチェック項目に基づき、町全体の取組み状況を確認すると共に、特に持続可能な観光として優良と考える事例をストーリー形式で提出し、応募地域の中から上位100地域が選ばれます。


「世界の持続可能な観光地TOP100選」に選ばれたストーリー

小布施町は2022年にも応募しましたが、惜しくも落選してしまい、二度目の挑戦となりました。 今年は、20回目を迎えた「小布施見にマラソン」をストーリーとして取り上げ、上位100地域に選出していただくことができました。 小布施見にマラソンが国際的に評価されたポイントは、主に以下のような点です。

・小学生からお年寄りまで多様な町民や町内事業者がかかわって作り上げられている点。
・先導車に電気自動車が利用されていたり、「ゴミゼロランナー」がいたりなど、環境の持続可能性に貢献している点。
・エイドに町内産の農産物や町内事業者の製品が取り入れられるなど、地域経済に利益をもたらし、ランナーが栗以外の特産物を知るきっかけにもなっている点。
・多くの来訪者が訪れるエリアとは異なる「OFFの道」を走ることで、ランナーが小布施の美しい農村景観の魅力に気づくきっかけになっている点。
・参加者の7割がリピーターであり、2003年の第1回から今年の第20回まですべて参加しているランナーが30人もいることから、1回限りではなく繰り返し訪れる小布施のファンを生み出している点。

上記のように、地域の環境・経済・社会すべての持続可能性に貢献し、実際に多くのランナーが魅力を感じてくり返し出場していることから、「小布施見にマラソン」は国際的に見ても先進的な取り組みとして評価していただけたようです。

今後は、今回の選出をきっかけに、町外へ向けて持続可能な観光に取り組む地域であることを発信するとともに、観光・交流がさらに地域の環境・経済・社会を発展させるものになるよう、施策を実行してまいります。